ニア国立公園の洞窟遺跡群の考古学的遺産
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ニア国立公園の洞窟遺跡群の考古学的遺産について
マレーシア・ボルネオ島北部のサラワク州にある、巨大な石灰岩の洞窟群。ここには、旧石器時代から新石器時代、そして鉄器時代に至るまでの、約5万年以上にわたる人類の居住と活動の痕跡が連続して残されている。
特筆すべきは東南アジア最古級の現生人類であるホモ・サピエンスの頭骨化石、いわゆるディープ・スカル(Deep Skull)が発見された場所であることだ。また、先史時代の壁画(赤い顔料で描かれた舟や人物像)や、「舟形の棺」を用いた独特の埋葬遺跡も良好な状態で保存されている。現在でも地元住民による「アナツバメの巣」の採取が行われており、過去と現在が交差する場所でもある。
この遺産の核心的価値(OUV)は、「人類の熱帯雨林への適応と生存戦略」を示す最長の記録の一つである点にある。
人類史の書き換え: かつて「人類は開けたサバンナで進化した」と考えられていたが、ニア洞窟の発見により、ホモ・サピエンスが非常に早い段階(約5万年前)から過酷な熱帯雨林環境に適応し、狩猟採集を行っていたことが証明された。
圧倒的な連続性: 一つの遺跡の中で、石器の使用から、土器の製作、農耕の開始、そして金属器の導入まで、人類の技術的・社会的進化のプロセスが地層として途切れることなく残っている例は、世界的にも極めて稀である。
複合的な考古学価値: 住居跡だけでなく、作業場、墓地、そして壁画という精神的な場までがセットで残っており、先史時代の人々の「生活の全体像」を復元できるタイムカプセルとして評価された。
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